先日デザインしたスズラン(Lily Of The Valley)がカットされた状態の写真が送られて参りました。これは教室を主宰されている先生からのご依頼でデザインしたものです。彼女はこれを教室に持って行き、両方ともすぐに売れたそうです。
わたくしは、このキットがいくらくらいの値段で売れたのかは何も知りませんが、デザイン料として頂いた金額は、ショップに記載している1パターン500円。2種で1,000円を頂きました。これは特別な生地ですので、おそらくキットのプライスは、4,000円~5,000円くらいで生徒様がご購入くださったと仮定すると、パターンに2枚で1,000円お支払い頂いたことはそう後ろめたいことでは無いと思うのです。この先生が、さらに無地の生地で新しいキットを作って販売すれば、パターンの値段が先生の売り上げに占める割合は、さらに少なくなってくる形になるので、教室を運営されている先生方にとってはそう高い投資にはならないなどと、ふわふわと考えておりましたら、とある先生より、ショップ経由でお問合せがございました。
それは
購入したままのデザインを利用する場合
御社の名前を明記ですがアレンジした場合は
私のオリジナルってことになるのでしょうか?
という内容でございました。
これに対して、アレンジしたものは、先生のオリジナルになります。とお答えしました。
加えて、当社の明記も必要無いともお伝えしました。
この先生も、教室運営に関して、様々なご苦労を経験されたようで、最終的に現状、ご自分のオリジナルパターンを手描きで増やしておられるとのことでした。それでも数がまだまだなので、日本ハワイアンキルト製作所のパターンを導入してくださることをお考えいただいているそうで、嬉しくおもいます。
彼女もオリジナルに対する強い思い入れがあるようですが、わたくし自身は、その感覚がすこし欠如しているのかもしれません。よく考えてみれば、全てのパターンを公開するということは、多くのデザインを考える人たちに対してどこかで「ネタ」を提供することになるので、これはオリジナリティを考える人から見れば狂気の沙汰ともいえる行動です。お問合せ頂いたこの先生も、業界の閉塞感についても語っておられて、お悩みいただいている状況がよく理解できました。ですからきっとわたくしのお返事にびっくりされていることと思います。
事実、最近あちらこちらでTiki のパターン作品を拝見することがありますが、これは2012年に埼玉の北村京子先生がキルトハワイに「Tiki」の作品を出展して以降に起こった事です。でも、最初に「Tiki」の作品を制作されたのは北村先生で、それまではどこの教室の作品にもTikiが登場したことはありませんでした。ハワイアンキルトについては、オリジナリティについて語っても、本当は意味が無いのかもしれません。だってどこかをちょろっと変えればこれは、私のデザインですとどなたもがいえる自由があるのは確かなことですから。そんなことよりもパターンについての様々な制約が無いもので、ハワイアンキルトに触れて下さる方がどんどん増えて行ってくださることのほうが、わたくしにはずっとずっと意味があることなのでございます。
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