東日本大震災が起きた頃、わたくしは、茅ヶ崎で教室を運営されておられる先生のところで、ハワイアンキルトに関するいろいろなことをお手伝いさせていただいておりました。その年の5月には、横浜でキルトの展覧会を開催しようとしていて、いろいろと準備している時期でもありました。多くの人が、その頃大変だった東北や福島の人たちのために何かできないか?と、優しい気持ちがいっぱいだったのに、ハワイアンキルトに関わる自分たちは、何の役にも立たず、せいぜいイベントを自粛しようかと思う程度のことしかできなくて(その教室の先生は予定通り展覧会は開催されましたが。)個人的には、自身のやっていることの役に立たなさや、社会性のなさを悔しく思ったのでございました。
自身の友人や親戚なども震災が襲った地域には一人も居らず、今も相変わらずなにも役に立たないまま、もうすぐ6年の月日が流れようとしております。あんなに大きな災害だったのに、生まれたときから首都圏で生きてきたわたくし自身は、あまりに人とのつきあいの範囲も狭く、無力であることを感じるしかなかったことも、最近忘れかけておりました。ハワイアンキルトに関しては、震災以後には、それなりに何度かの裏切りを経験し、でも、自身のやっていることはそれほど変わりなく、役に立たない仕事をし、人生にとってどうでも良いことに、多くの時間を使って生きてきております。お医者さんだったらとか、自衛隊員だったらとか、役所や消防署の職員だったらもうすこしましな時間を過ごせていたかもしれないなとは思うのですが、全部どれも、私自身は全く関係なく少額のお金を寄付することぐらいしかできなくて、自分が被災したら、とんでもないしっぺ返しを食らうんじゃないかしらとも思っておりました。
ところが、昨年の年末に、福島の復興支援をしているNPOの代表の方から、日本ハワイアンキルト製作所のサイトを通じてついに声がかかったのでございます。ひとつは、わたくしの個人的な仕事に関するものだったので、このブログとは無関係なものですが、もうひとつが、ハワイアンキルトに関するお問合せだったので心が華やぎました。これで、ハワイアンキルトで少しは役に立てる!なんてね。同時に代表者の方と会ってお話しているうちに、わたくしが日本ハワイアンキルト製作所のサイトを立ち上げた原点について、今一度、しっかりと再確認する機会も与えられたということでもありました。
ハワイアンキルトは、パターンの取り扱いに関する間違った情報が普通の常識として語られる傾向にあることから生まれる不具合を正す活動を目的としていることや、わたくし自身は、教室を運営するよりこれに関わる方々の自立を目指してきたこと。自身が、デザインをしたいがためにキットを売りたいとは全く思っていないことなどが、ご連絡いただいたNPOの方のニーズに合っているのではないか?と思えたことなどでございます。
お問合せの内容は、詳細がはっきりしてからお話することにはなりますが、教室や生徒を持たないわたくし自身は、これから先に、協力者が必要になることは確かでございます。現状、挙手してくださっておられる先生も複数居られます。ハワイアンキルトで、社会性のある活動をしたいと、どこかで願っておられる指導者の方や、作家の皆さまが居られましたらご一報頂けると嬉しいです。
この一件で、心が華やいだわたくしは、早速準備を始めたのでございますが、本日公開した20×20cmのミニタペストリー用のパターンがその一環でございます。いままであった、ミニタペストリーや体験用キット製作向けのパターンを一新し、全く新しいデザインにしよう!と考えて揃えたラインナップは、この活動を頭に入れて描いたものです。パターンの構成としては、初心者の方向けのもので、今までサイトで売れたパターンの傾向に沿ってラインナップを揃えました。なので、活動に関係なく、新たに教室をオープンされる指導者の方や、体験を予定されておられる方やイベント主催者の方にもお使いいただけます。
中に、欅や、ヒバリ、桜やサケなどが入っているのは、お話を頂いた南相馬市にちなんだものなので、不思議に思わないで頂きたいのでございます。セットの中には、新たに季節もののデザインを買い足していただく必要のないようにクリスマスやハロウィンなどデザインも織り交ぜましたので、ご覧頂ければと思います。個別でご購入頂く際には1点200円で、全40パターンの内、20パターンをひとまとめにしたゼット販売でご購入頂くと1点150円という超お買い得価格でご提供させていただくことにしましたので、こちらもご覧になってください。 カットしやすく、ハワイアンキルトを知らない方のイメージを外さないようにも配慮したつもりでございます。
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