日本ハワイアンキルト製作所のサイトでは、とある有名なキルト作家デザインのパターンをいくつか掲載させていただいておりますが、最近ひとつのデザインが欲しいというお問合せが増えました。それがこの「Hibiscus」のパターンです。
基本無償提供とさせていただいておりますが、希望される方には必ずお問合せいただくことをお願いいたしております。と申しますのは、パターン提供の際にどうしてもお願いしたいことがあり、毎回必ず個別にこのお願いをお伝えし、ご理解いただいた上でのご提供とさせていただいております。
まず第一に、わたくしどもに無許可で完成作品を作品展や展示会、その他イベントなどで一般の方の目に触れる場所での使用はしないことをお約束ください。ということ。
第二に出力実費として2,000円(225×275cmの大きさがございますので、コンビニでコピーして…みたいなこととは少し違います。)と送料をご負担ください。
第三に、なるべく仕上げて、完成した様子のお写真をお送りください。
という3点のお願いです。サイトでパターンを公開してから8年間で、30名弱の方にこのパターンをお送りしました。その中で、作品を完成させた方はまだお一人で、この方の制作の際には、わたくしともう1名がお手伝いさせていただきました。その後、ご本人様はしつけをかける段階になった際に、パターンを確認しながら配置や空の寸法をすべて寸法を測りながら置き直し、ようやくしつけに至ったということをお聞きしました。思ったよりも大変でしたというお話もされておられました。
このハイビスカスは、わたくし自身その後ハワイアンキルトにずっと関わり続けるきっかけとなったデザインで、わたくしにとっては最も大切なデザインでもあります。多くの方がこのデザインを見て素晴らしいと感じてくださることは大変うれしくは思うのですが、完成に至った方が未だまだ1名という現状から察すると、なんてことはなさそうに見えるようで、制作に至るまでの過程が大変手ごわいのであろうとも思っています。
放射線状に配置されたハイビスカスの花と葉だけを使ったデザインなのですが、そもそも斜めにパターンをきっちり置くというのがこのサイズだととても大変です。ですがモチーフだけを使って愚直にシンプルに構成されたこのデザインは、葉の配置、花の配置が効果的に考えられており、ハイビスカスがやわらかな風になびいているような動きと生き生きした植物の姿が自然に描かれていて、今も思わずうなってしまいます。なんて自然でしなやかなデザインなんだろう。そしていつかわたくし自身もこのような素晴らしいデザインが描けるようになることを今も願っております。
そもそもこの作家のデザインは、線が細く、きゃしゃで繊細なモチーフの表現がされており、カットやしつけはとても大変ですが、驚くほど早くアップリケを進められます。それは自然に繊細に描かれたラインは、アップリケするのが楽しくなるように描かれているためで、どんどん縫えてしまうということは以前から彼女のパターンを制作した方たちが語っておられたことを今も覚えております。デザインしたご本人は40過ぎてからハワイアンキルトをはじめ、88歳で亡くなるまでの40年余りの期間にベッドカバーを78枚、53×53cmのピローサイズの作品は、3,000枚まで制作した以降は数えるのをやめたというような作るの大好きという方でした。きっとデザインはもちろんキルト作家として素材の特徴や表現方法など、わたくしたちでは全く理解できないほどの境地に立っておられるような活動をされておられ、その生涯の期間に、普通の人が素晴らしいハワイアンキルトの作品を制作できるようにするための多くのノウハウを残されています。
わたくし自身も、日本ハワイアンキルト製作所のサイトを始めようと思いましたのも、この有名作家のことを調べた結果、これは素晴らしいことであるし、面白いとも感じ、ハワイアンキルトの奥深さや面白さはライフワークにできるものであると知ったからでございます。このブログにも同じようなことを何度も何度も記載してはきましたが、最近このハイビスカスに関するお問い合わせが増えたことで、今一度基本に戻ってみようとまた、書いてしまいました。
実際に、パターンをお送りした方以上に、多くの方からお問合せはいただいておりますが、毎回こちらからお願いしております3つの項目をお伝えすると、じゃいいです。とおっしゃる方もおられます。その方たちのお気持ちはよーーくわかります。作り上げて人に見てもらいたいと思われるのでしょう。誰もがそう思うほどに素晴らしいデザインですから。ですが、大変申し訳ないのですが、制作はご自身のスキルアップのためにお使いいただくことを目的としていただくことをお願いいたしております。
と申しますのは、これはわたくしのデザインではございませんし、この作家を師事する指導者のグループにわたくし自身は属しておりません。そんな立場からハワイですべてを継承されているこの作家の孫娘様や、グループに所属する方々にご迷惑をおかけすることはしたくございません。あくまでも、わたくし個人の考えで掲載し、希望者の方にご提供させていただいているだけなのでございます。
でも、ハワイアンキルト制作を行っておられる方なら、このパターンを作りあげることで手にできるものもたくさんあると信じているのです。
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