昨年の9月にギャラリー広尾で行われた「ハワイアンキルター38名の作品展」に伺ったときに、購入したむら染め生地をずっとお預かりしたままになっていて、いけないいけないと思いつつ、仕事することにいたしました。じーっと生地を見ていてこの生地で「スズラン」を作ったら素敵に思えて参りましたので、スズランのパターンを描くことにいたしました。
当該生地は、Shades Textilesの製品で、Hula Hoopsというブランド名です。サイズはおそらくS。50×50cmの作品が作れるサイズでございます。
系統的にはこの写真のような色で、中心部分が白と水色のものと2枚お預かりいたしました。
こういったむら染めの生地は、1点ものが多く、グラデーションの切り替え位置が生地によって微妙に違います。さらにお値段が高価なものが多いので、生地をお預かりして、きれいに作品が仕上がるようにパターンを考えます。
ひとつめは、こんなデザイン。スズラン=lily of The Valleyの基本形として描いたものです。これは中心が白の生地に合わせています。スズランって本当に素敵なビジュアルの植物で、わたくしも、以前象牙で作られたピアスを持っていたことがあります。象牙、象牙のピアスですよ。
それにしても、花の造形が美しいので、もっと花を活かした抽象的なデザインのほうがいいのかなーなどと、真夜中にひとり悩みます。
んで、描いたのがこのパターンです。特徴としては、中心部分はわざと「丸っぽい」デザインにして、ウォールのようにフレームをつけて見るというチャレンジです。50×50cmというもともとそれほど大きくない生地ですので、多くの要素を入れないほうが制作しやすいのは確かですが、オンリーワンの高価な材料を使うので、隅から隅までめいっぱいデザインを展開して、大切な1枚となってくださることを願いました。
また、このサイズは、クッション綿を入れてお使いになる方もおられるはずですから、お部屋にデコレーションした時のことも考えました。
と、何事もなかったかのようにここまで辿りついたように言ってしまうのは、大変怪しいので、この結論が出るまでの推敲のプロセスを少しご紹介させていただきます。
左側のものを最初に描いたのですが、あれれ?これじゃ「取り舵いっぱーい」じゃない?うわーへぼい。やめやめ。修正しましょう。
こうして2番目に描いたのが右です。あれ?これじゃ「辛子レンコン」じゃない?うわー、またまたへぼい。修正修正。と中心部分の表現について、何回か悩んだ結果2つめのデザインを決定いたしました。頭の中で思い描いて、これでうまくゆくはずだと思っても、結果が意外なものになる場合が多いので、なるべく机上の理論とやらに頼らないようにしようと心がけております。
知っていても、実際にできないことって多いので、必ず毎日デザインについて考え、手や頭を働かせるよう努めております。
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