ハワイアンキルト教室の教材となるキットのクオリティは、カットのクオリティと密接な関係があると思いますし、その後に発生するしつけのクオリティとも大きな関係があると思うのです。指導者の方にとって、キットが収益を左右する大きな部分であることは、間違いありません。さらに、生徒様が早く作品を仕上げてどんどん別のものに着手してほしいと指導者のほうは、回転のよいものは何か?と常に考えておられることでしょう。
一昨日日本ハワイアンキルト製作所で、パターンをご購入いただいたお客様のYoshinaga様がネットショップをオープンされたと、ご連絡をくださいました。ショップ名は「Lino Hawaii」というショップでハワイアンキルトはもちろん、それ以外のものも購入いただけます。美しいショップですので、お訪ねになってみてください。ちなみに、わたくしは自由に販売されるキットにいては、無関係で中立的な立場に立っていたいと思っております。様々なショップ様で販売されるキットのプライズやクオリティなどについては、わたくしのサイトとは関わりの無いものとご理解いただけると嬉しいです。
Lino Hawaiiのキルトキットのデザインは、日本ハワイアンキルト製作所のものなのですが、おそらく現状、そうとも言えないものでもあるかもしれないと、商品写真を拝見させていただいて改めて思うのでした。それは、パターンを見て、カットをしようと思う瞬間から、カットする人の解釈が加わるということです。そして、この解釈が加わった時に、その方独自のオリジナル商品として展開されてゆくのだと感じました。具体的に言うと、デザインに忠実に切るか、切り手の解釈によってデザインの細部を省略して切るか、という差が同じデザインをカットしても起こりうることを感じたのです。もちろん、デザインを見てどうカットするかは全くの自由ですし、そうすることで、カットした方のオリジナルデザインへと変貌して行くということもあり得るのですから、それはそれで、また楽しい出来事でもあるのです。
はさみの使い方や、カットの経験の違いなどもあるのかもしれませんが、キットメーカーとしてお客様に対する思いやりの有無が最も大きなポイントになっているとわたくし自身は常々思っております。細部まできちんとカットされたもののほうがそうでないものよりも、視覚に多くの情報が伝達されることで受ける刺激が増えて、縫う速度が速くなります。縫い手もきちんとカットされていれば、形通りに縫うだけで、美しい作品が自然と出来上がって行くので、早く作品が仕上がります。なので、わたくしは、作品を作り上げるのと同じくらい、指導者の方はクオリティの高いキットが作り上げられるようにならなきゃいけないの!なんて、皆から、うるさい!と言われるほど言い続けています。ですがこの結果、キットの回転が速くなり、キットをカットする機会(チョコレートの名前みたいですが)が増えた指導者の方がどんどんスキルがアップしていることも強く感じています。すばらしい!
わたくしが、ハワイアンキルトを学ぶきっかけとなった、ハワイの某有名作家がカットするキットは、それはそれは素晴らしいものでした。パターンをデザインする時に、常に彼女のことを頭に思い浮かべ彼女がカットしたキットの写真は、心に焼きついて離れません。彼女がデザインしたパターンを縫う人は、まるで神が降りて来たような早さで作品を仕上げるのです。それはなぜなのか?簡単です。キット(全てしつけされておりました。)がとにかく素晴らしいのです。まあ、わたくし個人的には、40歳過ぎに作品制作を始め88歳で亡くなるまでの間78枚のベッドカバーと3,000枚以上のピローを縫ったという彼女は、上手にカットができるだけキットに関わる機会がたくさんあった。ということなんでしょう。ね。
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