日本ハワイアンキルト製作所で販売している「理想の色見本」は、ユザワヤなどで簡単に手に入るエイティスケアと言われる生地です。色無地の生地で、100色ほど揃っていて日本で一番使われている材料だと思います。でも、この材料の色の構成を見ると、結構地味な色が多く、普通にハワイアンキルト作品に使おうとすれば、色が限られてしまうのではないのかなと思えます。
新しく公開したデザインに関して、全てカットしようと考えたわたくしは、先日来クラウンの制作に着手しておりましたが、同時に、普段あまり使われない色を使って作品を作ろうと7088という材料にチャレンジしてみようとも思ったのでございます。(7088を使っていない方は関係ありませんので、今日の記事は無視してください。色見本を入手されたい方は上のリンクから買って、試してみてください)
皆さんが見向きもしないような微妙な色を組み合わせて、作品にできないかといろいろとやってみようとまずは紫系。左のはロイヤルカラーとしてよく使われる色なのですが、通常はベースを黄色、パターンを紫にして制作しますが、それを反転させたもの。右の777は色だけ見るとほぼグレーです。でも、上に載せる色によっては、ベースから紫色感を伝えることができます。711は黄色っぽいアイボリーなので、明るくても「補色」関係が成立するので、下の色が違って見えます。白を載せてしまったら、明るすぎて777はもうグレーにしか見えなくなってしまうはず。
同じくポーチでも、やってみました。左のものは、ベースに黄色を使うのでは無く、7088のなかにたくさんある「ベージュ系」の1色を合わせてあります。甲府の村上先生から、これは年齢の高い生徒様に人気が出そうな色。だけど、なかなか選べない組み合わせね~。と褒めていただきました。左のポーチは、白に載せているのではなく、青の反対色であるオレンジを感じられるオフホワイトを使って、白じゃ無いのに「白」を感じられるように組んだものです。真っ白の生地を隣に持ってこない限り、ベースは白にしか見えないでしょ?と人を惑わせるクールな組み合わせです。
次は、普通よく使われる、黄+赤の色を、鮮やかさの少ない色で組み合わせた例です。世に言う「黄土色」を黄色として使っています。黄土色は黄色に少し黒を混ぜた色ですので、赤も同じように通常使う赤(No.745)より濃い(黒い)色を使っています。このポーチを見せたら、ありそうで無い組み合わせなので、結構新鮮!って思っていただけました。
これは、デザインしたときの色に近づけて作りたいと思ったのですが、少し雰囲気を変えて日本的な雰囲気で合わせました。ベースのNo.704もこの色だけで見るとグレーです。でもよく見ると緑に寄ったグレーなので、マイレの部分で使っている緑と合わせるとグレーでは無く薄いグリーンに見えます。 王冠の色は、黄色の代わりにこの色を使いました。王冠に使った色をベースに使ったのが、上左のQueen’s Combです。同じ色なのに、載せる色によってまた、違った雰囲気を感じます。ポーチのクラウンでは、反対色にして、クラウンの存在をはっきりさせる必要がありますが、Queen’s Combでは、このベージュが持っている赤みに合う色を使って、同系色で仕上げた感じになります。…………要するに、7088は、アイボリーとかベージュとかオフホワイトとか、使いこなすのが難しい色が多いのです。アイボリー、ベージュ、オフホワイト、ブラウンなどの色は、必ず何色かの色が混ざって出来ている色なので、その色が、何を混ぜて出来た色であるかを見る必要があるので、慣れていないとなかなかわかりません。なので今回は、使った色を番号でお知らせすることにいたしました。茶色やベージュやオフホワイトを使いこなすことができれば、いままでに見たことが無いような新鮮な色の作品を制作することができるようになるかもしれません。色を見分けることが出来るようになるのはそう簡単では無いので、出して並べて、仕上がりを想像できるように配慮したのが、「理想の色見本」です。色見本で遊べば、意外な発見があるかもしれません。
最後はピンクです。ピローの王冠に使っている色とポーチのベースの色は同じです。このピンクは、ピンクでありながら、オレンジの要素も持っている「コーラルピンク」に近いので、ピローのベースには、少し濃い同系のピンクを使い、ポーチには、グレイッシュなピンクを使いました。この、グレイッシュという言葉なのですが、鮮やかなピンクにグレーを混ぜるとこの色になります。赤・青・黄・緑などの色味のことを「色相」鮮やかさのことを「彩度」、明るさのことを「明度」と言い、作品制作の際に、どんな方でも悩む項目だと思います。また、皆さんが全ての色を持っておられる訳ではないので、自分の好きな色を選んでしまい、いつも作品の色の傾向が似てしまうというのは、よくあることなので、理想の色見本で、材料について良く知り、使いこなせるようにならなければいけないと、わたくし自身も思うのでございます。
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