先日再放送かどうかは不明ですがNHKプロフェッショナル・仕事の流儀「誰にでもできることを、とことん〜布団職人・新貝晃一郎〜」を見ました。そしてテレビと会話するように「そうよね、そうよね。」とうなずきながら激しく反省しました。番組中に何度も出てくるこの「誰にでもできることを誰よりもやる。」というこのお言葉。ほんとおっしゃる通りです。
日本ハワイアンキルト製作所の大きなサイズのパターン(図柄)は、紙のサイズを限定することで、全体のコストを下げることを理由に全てA3サイズの用紙を貼り合わせてお届けしています。ベッドカバーになるとデザインによっては20枚ほどの貼り合わせになるのですが、紙というのは、1回折り曲げてしまうと2度と元には戻りません。広い場所で1枚1枚をきっちりつなぐには広い場所が必要で、それがお布団づくりの新貝さんが作業する様子と似ていて、番組の内容に引き込まれてしまったのでございました。パターンは布を切るための型紙に過ぎないのですが、布とはその性質は大きく違います。雨が降れば湿気を吸って伸びるので寸法が変わりうまく線がつながらなくなってしまいますし、夏場は湿気が多いので出力したらすぐ貼り合わせないと、全然合わなくなってしまいます。貼り合わせる最中にどこかを折り曲げることはできないので、基本1枚になるまでフラットな状態を保つ必要があります。2014年にサイトをオープンしたときから、長尺プリンターを導入したいと思い続けているのですが、これを実現したらパターンのプライスを変更しなければならないので、今もひたすら貼って貼って貼り続けるという作業を行っています。ですがときどき、すごく面倒に思うことがあって、すごく長い時間がかかってしまったり大きなパターンのオーダーが入ると気が滅入ることがありました。
ですがこの回のプロフェッショナルを見て、新貝さんのおっしゃるとおり誰にでもできることを誰よりもやる。紙を貼り合わせることなんて誰にでもできることだけど、A3の紙を(297mm×420mm)寸法違わず貼り合わせて、大きなものなら1700mmほどの型紙をつくりあげるようなばかげたことをやり続けていけばいつか特技になるかも知れない(新貝さんには申し訳ないけれど)と自身の邪念を多いに反省したのでございました。
貼り合わせは先にも記載しましたが寸法を変えないように、なるべく天気の良い日に行い、梅雨に入る前からエアコンはつけっぱなしにして、室内の温度を一定に保った状態にします。換気をしなければならなかった去年は、紙の管理が大変でございました。
ときどき、ダウンロード販売をやっていないのですか?というお問い合わせをいただきます。今もどうしようかと悩んでおりますのは、このパターン(図柄)の貼り合わせ問題があることがいまひとつダウンロードに踏み出せない理由のひとつです。
大型のパターンに時々入っているグリッドは、わたくしが貼り合わせる際に必要なガイドラインでございました。このハワイアンフラッグのようなデザインはモチーフが入っていない余白の部分が多くあるので、ガイドが必要になるのです。
ハワイでデザインは全て手描きで描かれ、人に伝授されるときも手描きでトレースして伝えられるのが普通でした。でも、手でトレースすると全く同じにならなくなる場合があるので、日本ハワイアンキルト製作所のパターンは全てデータにしています。そうすれば同じデザインを常に同じ状況でご提供させていただけると考え、6年ほどかかってデータ化しました。ハワイアンキルトは布、パターン(図柄)は紙。両方と戦う日々が今日も続きます。これからも一生懸命貼り合わせます。
コメント